【ご案内】「東アジアにおける仏教の末法思想と寺院」講演会(第37回平泉文化セミナー)の開催について
岩手大学平泉文化研究センターでは、東アジアにおける総合的「平泉学」の構築を図るための一環として、平泉文化セミナーや講演会などを定期的に開催しております。
今回は、「東アジアにおける仏教の末法思想と寺院」講演会(第37回平泉文化セミナー)として下記により開催しますので、ふるってご参加ください。参加費は無料です。
記
1.日時 平成30年1月19日(金) 14:45~17:00
2.場所 岩手大学教育学部1号館2階 E27講義室
3.内容
①発表者:何 利群氏(中国社会科学院考古研究所鄴鄴城考古工作隊)
演題:中国の末法思想と鄴城仏教
要旨:仏教では、一般的に正法・像法・末法という時代区分がなされている。中国では、末法概念は古くから伝われてきた。四世紀の東晋十六国における一部の仏典はすでに末法の世に触れており、具体的な実物証拠は北涼石塔となっている。六世紀中期、東魏・北斉の首都鄴城は洛陽に代わって中国北方地区における仏教文化の中心となり、城内及び周辺地区に数多くの寺院及び石窟が創建されており、その石窟や摩崖に末世護法と関連する仏典が多く彫刻された。近年来、中国社会科学院考古研究所は鄴城遺跡で相次いで規模広大な東魏・北魏の皇家寺院を発見し、また北呉荘仏像埋蔵坑を発掘することで千体にのぼる仏像を検出した。これらの資料は、北朝晩期に流行した仏教流派・末法思想・寺院建築配置・仏教造像芸術及び舎利埋葬制度等を研究することに重要な意義をもつ。
②発表者:佐川正敏氏(東北学院大学文学部教授)
演題:日本の末法期の寺院造営と新たな軒瓦文様
要旨:日本の末法元年は1052年であり、それに合わせて藤原頼通が宇治平等院鳳凰堂を造営したことは有名である。白河天皇は11世紀後葉に平安京の東郊に法勝寺を創建し、中島に日本初の八角九重塔を建て、そこに大日如来の種子を印した梵字文軒瓦を葺いて、両界曼荼羅世界を表出した。同様の梵字文軒瓦は13世紀前葉の東大寺復興などでも製作された。また、法勝寺では五輪塔文軒瓦も製作され、そこにも大日如来の種子が印された。そして、南無阿弥陀仏銘軒瓦とともに大阪の寺院でも葺かれた。さらに、12世紀中葉には巴文と剣頭文が軒瓦文様として新たに採用され、遠く平泉の柳之御所遺跡にあった建物の屋根も飾った。そして、巴文は蓮華文に代わって近現代まで軒丸瓦の主要文様となっている。巴文とは何者なのであろうか。末法期に新たに創案され流行した軒瓦文様について考えてみたい。
4.講演会の後に、懇親会を開催する予定ですが、ご参加をお願いします。
5.問合せ 平泉文化研究センター事務局
〒020-8550 盛岡市上田三丁目18-33 ℡ 019-621-6529 Fax 019-621-6529
E-mail ryukaiu@iwate-u.ac.jp