俳人はいじん俳諧師はいかいし

 俳諧を作る人のこと。俳諧はいかいとは、本来「おどけ。たわむれ。滑稽こっけい」の意味で、「俳諧はいかい(の)連歌れんが」の略でもあります。連歌れんがとは、短歌の上の句五・七・五と、下の句七・七を二人以上で交互こうごつらねてゆく和歌わか形式です。
 貴族が始めた時は上品な言葉を使ったのですが、気取らない話し言葉を自由に使う俳諧の連歌が、武士や町人そして農民に好まれるようになって全国に広まりました。江戸時代の芭蕉が東北の旅ができたのも、俳諧の連歌が、東北でも多くの人々に楽しまれていたからです。心通う仲間(連衆れんじゅ)が集まった時節を忘れないために、連歌の最初の五・七・五の発句ほっくに季節の言葉を入れるようになったのが季語きご季題きだい)の始まりだと考えられています。それゆえ発句ほっくには独立性があり、後の明治時代に正岡まさおか子規しきらが世界で最小の詩として評価し、「俳諧はいかいの連歌の発句ほっく」の始めと終わりを取り「俳句はいく」と呼ぶようになったとされています。俳諧は、話し言葉や気取らない言葉で滑稽こっけいやユーモア、そして感動を表すことができる、自由で豊かな表現方法だったのです。